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崩壊する世界 繁栄する日本
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経済評論は色々な視点があって良いと思います。その中の一つとしておそらく長い間語り続けられるであろう評論です。
膨大な統計情報を簡単な統一グラフにまとめることにより、特徴的な国が世界の中でどういう戦略で繁栄しようとしているか、それがリーマンショックを受けてどう崩壊しかけているのかを国別に平明に解説した本です。 それだけでなく、これらの分析を受けて、今後日本がどういう「戦略」をとって繁栄すべきかまで言及されています。
「外需依存国家である日本は、輸出や輸入が経済に占める割合が大きい。だから日本はグローバル化して、外国と仲良く付き合わなければならない」という嘘を証拠をもって解き明かします。
・日本の輸出依存度は主要国の中では、アメリカに次いで「低い」
日本:28.5% 米国:22.5% 中国:66.6% 韓国:75.1%
・日本の輸入対GDP比率は世界最大の内需国アメリカさえも下回っている
日本:13.1% 米国:14.1% 中国:29.1% 韓国:36.8%
・つまり日本は内需依存国であり、円高こそが内需成長に必要である
2チャンネルの匿名書き込みでブレークしたという特異な経歴は伊達ではなく、文章は大変わかりやすく(少しあおり気味なのは気になりますが)、読みやすいです。書いてある内容は今まで新聞や週刊誌などで読んだ内容とはあまりに違うため、視点として正しいのかどうか私自身は評価を保留しますが、読む価値のある本だと断言します。
とにかく統計情報の数が凄い。九カ国もの国々の統計情報を一次ソースから収拾し、一定のフォーマットで定型化するという発想が凄い。思いつく人はいるかもしれないが、実際にやる人はいないだろう。本来であれば経済誌などがこれをやらなければならないと思うが、怠慢なマスコミにそれを求めるのは酷というものか。
物事というのは多くの人が「一つの角度」しか持たないで、それが「現実」であると思ってしまうものだが。実際は一人の個人についてでさえ、例えば自分でさえ。「多角的な角度」を与えられた瞬間に「新たな自分の発見」がある。
それは国家についても同じだし、この度の金融恐慌と呼ばれるものについて、あるいは日本についても同じである。
この著者は様々な国家モデルを示しつつ。日本経済について多角的な立体像を与えようと試みていることが非常に参考になる。
また著者は「2ちゃんねる」というある意味「厳しい表現の場」で論を展開してきたというプロフィールも逆に「大学の大先生の論」より信頼できるのではないだろうか。
この本だけでなくその他の本。また、様々な意見等を鑑みて現在の日本を観たとき。次の100年を創るビジョンがあなたの中に生まれるかもしれない。今の現状について、様々な角度からそれを深めた思考の底に飛躍があるのではないだろうか。
この程度の経済記事は「週刊ダイヤモンド」や「NewsWeek」にたまに特集号があるので、それほどい大したことはない。
筆者はマクロ経済を学んでいないから、いくつか致命的と思われる間違いを犯している。
一番の問題は現実と整合性がとれていないことだろう。
2008年10〜12月期のGDP伸び率は年率換算で
日本 -12.1%
ユーロ圏15ヶ国 -5.9%
イギリス -5.9%
アメリカ -6.3%%
と日本が飛び抜けて悪い。
「日本の輸出はGDP比15%でドイツなどに比べて小さいからインパクトは小さい」と筆者は主張するが、ドイツの輸出先は大半がヨーロッパ域内向けで対米輸出は10%程度。一方、日本は対米輸出は22%。中国経由の対米輸出を含めると30%を越えている。
だから、ドイツより日本が受けるインパクトの方が大きいのは当たり前。
(こうしたチェックポイントを外しているのが、本書の特徴と言える)
日本の高度経済成長時代のGDPの伸び率が平均10%年だったから、その1.5倍を海外輸出に依存するようになっていることは、海外の不況が日本経済に大きな打撃を与えることを示している。
2009年度だけで、高度経済成長時代の1年分のGDPの成長分が吹っ飛ぶわけだから、日本国内が大不況になるわけだ。
(高度経済成長の時間が逆に進むと思えばいい)
また、純輸出額で海外の不況のインパクトを図ろうとしてるが、純輸出=輸出−輸入なので、輸入超過か輸出超過かを測る物差しには使えるが、輸出減によるGDPへのダメージを図る指標としては使えない。(純輸出はマイナスに振れるから、振れ幅の大きさはならない)
名目純輸出では輸出の伸びが分からないことは野口悠紀夫氏の未曾有の経済危機 克服の処方箋―国、企業、個人がなすべきことで述べられている。
(経済学者の野口悠紀夫氏は日本のGDPがマイナス10%減少することをいち早く指摘し的中させた)
筆者の提唱する日本経済のモデルも、日本が資本をアメリカに投資し、アメリカがそのお金で日本からトヨタ車などの耐久消費財を買って代金を支払い、日本がその代金をアメリカにまた投資するという、アメリカ型経済とのペアで成り立つモデルなので、片方のアメリカがだめになってしまえば日本もだめになる。
(2007年頃から経済学者や各国首脳が警告していたマクロ経済の歪みというやつだ)
日本経済は2001年から2007年にかけてトヨタなどの自動車の輸出に依存して成長したので、自動車の輸出がぱったり途絶えると、GDPが急激に減少する体質になっている。
経済指標がいろいろ出ているが、指標によって測定されるマクロ経済のモデルが筆者の頭の中に素養として存在していないから、指標の意味を取り違えて変な結論に至っている。
この本を買うぐらいなら野口悠紀雄教授の世界経済危機 日本の罪と罰と未曾有の経済危機 克服の処方箋―国、企業、個人がなすべきことを買って読んだ方がいい。
野口悠紀雄教授は実績を積んだ本職の経済学者だから、こちらの方が手堅い。
宣伝戦の相手側の言説をなんらその背景を分析することなく、第一面に馬鹿のように垂れ流しているのが既存メディアだとしたら、ここには冷静な数字の分析とその見事な抽象化が示されています。昔、Competitive Advantage of Nationsという作品がありましたが、それ以上の出来上がりです。ここでは各国のビジネスモデルがその生成と崩壊を含めて見事に国際収支とGDPの構造そして為替レートの分析によって解説されています。アイスランド、英国、スペインの崩壊すべくして崩壊した金融・不動産主導のモデルの分析は見事です。と同時に外資導入に依存した成長モデルの危険性が指摘されます。韓国の部分は米国と日本との間での危うい均衡の中に咲いたあだ花のような成長戦略の脆弱性が明らかにされてしまいます。アメリカの経済的な論合性を超えたビジネスモデルの「すさまじさ」は、何の裏づけもないアメリカ国債という「偶」像への信仰がその基盤であることが、「裸の王様」のように解き明かされてしまいました。国家は、その自国の利益を軍事力からその詐欺的なプレゼン能力までをも駆使して追及するのが当然だというさめた認識と世界観が著者のベースとなっているからでしょう。どの国家も大なり小なりビジネスモデルの崩壊に直面しているというのは見事な指摘です。結論は日本の相対的なポジショニングのよさと「ガラパゴス化の薦め」であるというのは見事な処方箋です。ただ、世界でまだ不動産バブルが崩壊していない豪州そしてこれまた根本の崩壊に直面している旧東欧諸国の分析が欲しかった。





